「塾、行かなくてもいいんじゃない?」
そんな声を、中高生や保護者の方から聞くことが増えてきました。
たしかに今、子どもたちを取り巻く進学の風景は、ずいぶん変わりました。
少子化が進む中で、高校も大学も、生徒を集めることに躍起になっています。
定員割れの県立高校、学力試験のいらない推薦入試――
塾に通わなくても、いつの間にか進路が“決まっていく”ような時代です。
宿題を出さなくても、授業中に目を閉じていても、
それでも評定は4を軽く超えてくる。
「学力に自信がなくても、困らずに進める時代」なのかもしれません。
でも――私はその風景に、少しだけ足が止まるような感覚を覚えます。
何かが見えなくなっている気がする。
子どもたちが、“学ぶ理由”をそっと手放しはじめている気がするのです。
たしかに、子どもたちが安心して進学できる環境は、とても大切です。
けれど――“学ばなくても困らない”という状況は、
一歩間違えれば、「学ぶことそのものの意味」が見えなくなってしまう危うさも抱えています。
私たちは今、気づかないうちに、
「勉強しなくてもなんとかなる」という言葉を、
「勉強なんて、しなくてもいい」とはき違えてしまってはいないでしょうか。
そこにあるのは、ひろびろとして、歩きやすい道。
段差もなくて、進む方向もあらかじめ決められていて――
そして多くの子が、そのままの流れに乗って、当たり前のように進んでいく。
まわりの子が向かう方へ、なんとなく自分も足を運ぶ。
「みんながそうするなら、自分も」。
そんなふうに、“選ばずに進む”ことが、普通になってしまう道です。
でもその道が、どこへ向かっているのか――
自分で考え、自分で選ぶ力を持たなければ、
子どもたちは、“与えられた選択肢”の中でしか、生きられなくなるかもしれません。
私自身、中学・高校時代には「狭くて険しい道を行きなさい」と教えられて育ちました。
その言葉の意味は、当時の私には、正直よく分かりませんでした。
わざわざ苦労することに、どんな意味があるのか。
楽をしてはいけない理由なんて、あるのか――。
けれど、あの言葉に背中を押されて、
自分で考え、自分で判断して、
まっすぐとは言えない、不器用な道を選び続けてきました。
今なら、あの教えが正しかったと、はっきり言えます。
もちろん私は、「苦労すればいい」「厳しい道を選べ」と言いたいのではありません。
楽な道があるなら、その道を進めばいい。
困難があるなら、遠回りでも避けられる道を探せばいい。
私も、そう思っています。
でも――
もしその先に、「どうしても避けられない困難」が立ちはだかったとき。
そのときに立ち向かえる力を、
「今」育てておいてほしいのです。
“勉強”とは、ただ知識を増やすことではなく、
「自分で考え、選び取る力を育てる時間」だと、私は思うのです。
子どもたちに、「なぜ勉強しなきゃいけないの?」と聞かれて、
明確に答えるのは、簡単なことではありません。
私たち大人だって、問い直しながら、揺れながら、日々を過ごしています。
だからこそ、子どもたちが問いを持ったとき――
「それを一緒に考えてくれる大人」が、そばにいてほしいと思うのです。
成績のためでも、進学のためでもなく、
“自分の人生を、自分で選んでいくため”に学ぶこと。
その大切さを、言葉にできる家庭や大人が、ひとりでも多く増えてほしい。
やさしい学習塾は、その“問いを大切にする場所”でありたいと願っています。
そして、この町の中に、そうした場所がもっともっと増えていってほしいとも。
子どもたちの未来に必要なのは、
「正解を教えてくれる人」ではなく、
「一緒に考え、寄り添ってくれる大人」なのかもしれません。
どうか今、少しだけ立ち止まって、
ご家庭で「学ぶこと」について話す時間をつくっていただけたら――
それはきっと、お子さんの心に、あたたかい種を残してくれるはずです。
▽ まとめ
進学が“楽に”なった今だからこそ、
「なぜ学ぶのか」を問い直すことに意味があるのだと思います。
それは、塾に通わせるかどうかという話ではありません。
子どもたちが、将来どんな場面に出会っても、
自分の頭で考え、選び、進んでいけるように。
その土台を、家庭の中でそっと育てていく――
それが、私たち大人にできる「教育」なのかもしれません。
子どもの勉強に不安を持っていましたが少し気持ちが軽くなりました
ありがとうございました
また読みに来ます
コメントをお寄せくださり、ありがとうございます。
お子さまの学びに向けて、少しでもお気持ちが軽くなられたのなら――
それは、私たちにとっても何よりの喜びです。
勉強のこと、これからのこと。
すぐに答えは見えなくても、歩みのそばには、いつも想ってくださる方がいらっしゃる。
そのこと自体が、大きな力になると私たちは信じています。
どうか、またお気軽に読みにいらしてください。
静かにお待ちしておりますね。
やさしい学習塾 Il Campiello