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第4回①/部活を引退しても、学びは終わらない

前回までは、学びのリズムを「止めない」「重ねる」「今の中に置く」
という話をしてきました。
それは、勉強を“特別な時間”ではなく、“日常の一部”として整えていくという考え方でしたね。

そして今回のテーマは――
「部活を引退してから勉強を始めるのでは遅いのか?」
という、多くの中学生・高校生、そして保護者の方が抱く現実的な問いです。


部活をしている時間は、間違いなく人生の中で特別な時間です。
仲間と共に汗を流し、勝ち負けに悔し涙を流し、
練習が終わる夕暮れの匂いの中に“青春”という言葉の意味を知る。

私は、その時間を否定するつもりはまったくありません。
むしろ、全力で部活に打ち込む子ほど、勉強にも伸びしろがあると思っています。

なぜなら、部活を通して学ぶのは、技術ではなく「続ける力」だからです。
疲れていても行く。うまくいかなくても次を考える。
そうした習慣の中で育つ“粘りと整える力”は、
勉強の世界でもそのまま通用します。


問題は、「引退したあと」です。
多くの子が、部活を終えた瞬間にぽっかりと心に穴が空きます。
それまで毎日、目的を持って動いていた分、
急に“やることがなくなった時間”が増える。

本来はその時間こそが、勉強に向かうチャンスなのですが――
実際には、すぐに切り替えられる子は多くありません。

“部活を引退したから、これからは勉強だ!”
そう決意しても、体も心もすぐには反応しない。
なぜなら、人間は「止まってから動き出す」よりも、
「動きながら方向を変える」ほうがはるかに得意だからです。


だからこそ、私はこう伝えたいのです。

勉強と部活は、切り替えるものではなく、
少しずつ“重ねて”いくものだと。

引退という節目の前から、少しずつ勉強を生活に組み込んでおく。
そうすることで、引退後に“ゼロから”始める必要がなくなります。

一日15分でもいい。
それを“特別な日”ではなく、“いつもの日”に組み込むこと。
勉強はテストのためだけにするものではなく、
歯を磨いたり、お風呂に入ったりするのと同じように、
日常の中に置くものです。

テスト直前だけ机に向かう勉強は、本当の勉強ではありません。
テストが終わったあと、分からなかったことをもう一度できるようにする――
それこそが、正しい意味での“テスト勉強”なのです。


そして、もうひとつ大切なのは、
「部活の中で育った力を、勉強でも使える」と気づくこと。

練習をサボらなかった根気、
試合前に気持ちを整えた集中力、
仲間を支えた責任感。

それらは、机の前に座った瞬間に消えるものではありません。
むしろ、勉強の場に持ち込むことで、
学びの強度がぐっと増していくのです。

「部活で培った集中力」は“勉強の筋肉”に変わり、
「努力の癖」は“理解の継続”に変わる。
子どもがこれまで積み上げてきたものは、
無駄になるどころか、これから本領を発揮する準備を整えています。


私は塾で、よくこう話します。

「勉強は、“始める”ものではなく、
普段の生活の中に“加えて整えていく”ものです。」

勉強の時間を特別につくるのではなく、
いつもの暮らしを少し整えるように、
学びを自然に重ねていけばいいのです。

生活の流れの中に“学ぶ呼吸”を残しておけば、
部活を引退したあとも、流れが途切れない。
それは“切り替え”ではなく、“続きの延長”なのです。


「勉強と部活は違う世界」ではなく、
「努力の方向が違うだけ」。
その感覚をつかんだ子は、どんな変化にも強くなります。

そして、“頑張る”という行為が
「誰かに言われてやること」ではなく、
「自分が決めてやること」に変わっていく。
その瞬間、学びはもう“義務”ではなく“自分の力”になるのです。


次回・第4回 第2パートでは、
「時間の壁――“一気に取り戻す”は成立しない理由」
というテーマでお話しします。

部活を引退したあと、
なぜ“時間ができたのに勉強が進まない”のか。
その構造を、わかりやすく解き明かします。

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