大分県日田市のやさしい学習塾『いる・かんぴえっろ』

     大分県日田市のやさしい学習塾【イル・カンピエッロ】

電話予約
友だち追加
クラス案内
アクセス
ブログ

第4回②/時間の壁──“一気に取り戻す”は成立しない理由

部活を引退したあと、
多くの子がこう言います。
「時間がたくさんできたから、これから勉強を頑張ります」と。

その言葉を聞くと、親も少し安心します。
「これでようやく本気を出してくれるかもしれない」と。

でも実際は――
時間が増えた子ほど、勉強が進まない。
その理由は、単純です。
「時間」を目標にしてしまうからです。


私はいつも塾でこう話します。

勉強は“時間”ではなく、“量”です。

「今日は3時間勉強した」
という言葉に、あまり意味はありません。

3時間かけても、単語を10個しか覚えていなければ、
1時間で30個覚えた子に勝てない。
勉強の成果を決めるのは、どれだけ進んだかであって、
どれだけ時間を使ったかではないのです。


長い時間を確保して勉強しようとすると、
多くの子が“ダラダラ勉強”に陥ります。
それは「パーキンソンの法則」という心理の罠です。
――人は、与えられた時間をいっぱいに使うように行動してしまう。

つまり、3時間の枠を決めた瞬間、
その3時間の中に作業を“引き延ばしてしまう”のです。

集中は途切れ、
ペースは緩み、
「やっている気分」だけが残る。

本当に強い学びは、時間ではなく“密度”で動きます。
3時間かけてやる内容を、1時間でやり切る。
その緊張感の中でこそ、理解力と集中力は鍛えられるのです。


だから、私はあえて言います。
「3時間勉強する」と決めるより、
「30問解く」「50語覚える」「1章読んでまとめる」――
そうした“量”を基準にした目標を立てなさいと。

時間は、その結果に“あとから付いてくる”ものです。

1時間で終わればそれでいい。
もし30分で終われば、もっといい。
そうやって、時間を“短く圧縮していく”ことが、
本当の意味での成長です。


この考え方は、部活にも似ています。
練習時間を長くすることが目的ではなく、
その中で“どれだけ質の高い動きができたか”が大切ですよね。

ダラダラ3時間練習するよりも、
集中して1時間取り組む方が上達は早い。
それと同じです。

「勉強を長くする子」ではなく、
「勉強を濃くする子」になる。
その違いが、半年後には決定的な差になります。


そして、もうひとつ大事なこと。

「量」を目標にすると、達成感が明確に残ります。
「今日は20問解けた」「昨日より5語多く覚えた」――
それは、成果が目に見える喜びです。

時間を目標にしていると、「3時間やったのに覚えてない」で終わる。
量を目標にすれば、「これだけ進んだ」で終われる。
その違いが、勉強を“苦行”から“積み重ね”に変えるのです。


もし、あなたのお子さんが今、
「時間はあるのに進まない」と感じているなら、
それはサボっているのではありません。
勉強の測り方が間違っているだけです。

時間という“空気のようなもの”を測るのではなく、
「できた」「覚えた」「解けた」という“形”を測る。
それだけで、学びの景色は一変します。


焦って時間を増やすのではなく、
内容を濃くする。
その一歩を踏み出した子は、
やがて時間すら忘れて、夢中で学び始めます。

そのとき初めて、“時間の壁”は静かに崩れていくのです。


次回・第4回 第3パートでは、
「リズムを失った日々を取り戻すには」
というテーマで、
“量を軸にした習慣づくり”の具体的な方法をお話しします。

コメント

この記事へのコメントはありません。

関連記事

PAGE TOP