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第1回⑤/早く始めることは焦りではなく、予防である

前回は、授業という“伴走の時間”に「いない」ことが、
どれほど深い影を落とすかという話をしました。
今回はその続きとして、
「では、どうすればその影をつくらずに済むのか」という問いにお答えします。


結論から言えば、それは“早く始めること”です。
勉強の遅れは、努力の量で取り返せると思われがちですが、
実際には時間の使い方ではなく、タイミングの問題です。
どれだけ長く勉強しても、
すでに崩れた理解の層を一から積み直すのは容易ではありません。

反対に、ほんの少し早く手を打つだけで、
大きな空白を防ぐことができます。
それは、靴紐を踏んで転んでから絆創膏を貼るよりも、
転ばないように靴紐を結び直すことに似ています。
つまり、“早く始める”とは、焦りではなく予防なのです。


私はいつも、保護者の方にこうお話しします。
「小学生なら、テストで80点を切った時点。
中学生なら、定期テストで平均点を下回った時点。
その瞬間こそが“準備のタイミング”です」と。

なぜなら、その点数は「能力の評価」ではなく、
“理解のバランスが崩れ始めたサイン”だからです。
点数が落ちたのではなく、
子どもの頭の中で“つながっていた知識の線”が一部切れかけている。
だから、早く整えておく。
それができれば、後で何倍もの苦労をせずに済みます。


遅れてから始める勉強は、常に“追う”形になります。
追う勉強は、心が疲れやすい。
理解の喜びよりも、「まだ足りない」「追いつかない」という焦燥ばかりが増えていく。
本来、学びは追いかけるものではなく、並走するものです。
そして並走するためには、最初の一歩を少しだけ早く出しておくこと。
それだけで、学びの風景はまったく違うものになります。

早く始めるというのは、「先取り学習」をしなさいということではありません。
“焦らないための助走”を整えるということです。
心に余裕があるうちに、勉強のリズムを整えておけば、
どんなに坂道がきつくても、呼吸を乱さずに登っていける。
逆に、遅れてからペースを上げようとすると、
息が切れ、焦りが募り、心が先に折れてしまう。
それが、私たちが「つまずいてからでは遅い」と伝え続ける理由です。


塾に通わせるという行動は、
決して“メディアの情報に流された選択”でも“不安に負けた選択”でもありません。
それは、“未来への準備”というもっとも知的な判断です。
学びを先に整えるということは、
子どもに「自分の力で進める明日」を贈ること。
まだ余裕のあるうちに、道を照らしておく。
それが、焦りではなく、親としての愛のかたちなのだと思います。

持久走のスタートラインで、
まだスタートの合図が出る前に、急かされて走り出す子がいます。
一方で、少し早く来て準備運動をして、
足の運びを確かめてから走り出す子もいます。
結果が違うのは、体力の差ではなく、準備の差です。
勉強もそれとまったく同じです。


子どもの未来は、待てば育つ部分もあります。
しかし、理解のタイミングだけは、待つほど失われていく。
だからこそ、“早く学び始める”という決断は、
子どもの時間を奪うどころか、未来の自由を増やす行為なのです。

焦らず、迷わず、静かに始める。
それが、最も確実で、最もやさしい一歩です。


次回、第2話では、
「学びの波をつかむために、親ができる具体的なサインの見つけ方」
――“子どもが困る前に気づく力”についてお話しします。

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