大分県日田市のやさしい学習塾『いる・かんぴえっろ』

     大分県日田市のやさしい学習塾【イル・カンピエッロ】

電話予約
友だち追加
クラス案内
アクセス
ブログ

第3回⑤/学びのリズムは「今」の中に作る

前回は、「切り替える」のではなく「重ねる」――
という話をしました。
部活を引退してから新しい自分を作るのではなく、
日々の中に少しずつ“勉強の流れ”を重ねていく。
それが、無理のない継続の第一歩だと。

今回は、その“流れ”をさらに深めて、
学びのリズムは「未来」ではなく「今」から始まるというお話をします。


多くの人が、「いつか時間ができたら勉強しよう」と言います。
でも、時間というものは――
“空いた瞬間に訪れる”ものではありません。

時間は、つくるものではなく「整える」ものです。

「整える」とは、優先順位を変えることではありません。
日々の生活の中に、“学びの場所”を組み込むこと。
それが、学びのリズムを育てる最初の一歩です。


たとえば、部活をしていたとき。
あなたは「練習をするために時間をつくっていた」わけではありません。
練習は“毎日の一部”であり、
ごはんや睡眠と同じように“生活の一部”だったはずです。

勉強も同じです。
「特別な時間を確保する」のではなく、「いつもの時間の中に置く」。
それができた瞬間、勉強は“特別な行為”ではなくなります。

そして、“特別ではないもの”こそが、長く続く。
努力を続けられる人というのは、
努力を“非日常”にしない人なのです。


私の塾でも、こうした“今を整える”学び方を意識しています。

塾に来る時間だけが勉強ではなく、
塾のない日も「自分で考える時間」を確保する。
その小さな習慣が、学びを生活の一部に変えていきます。

ある中学3年生の生徒は、毎朝10分だけ昨日の授業ノートを見直すようにしていました。
それだけで、その日の授業が驚くほど頭に入りやすくなったと言います。
勉強を“後からやるもの”ではなく、“今の自分に積むもの”として捉える。
それができた瞬間、学びは未来の準備ではなく“今を支える軸”に変わるのです。


「今を整える」とは、
焦らず、比べず、自分のペースを守ることでもあります。

誰かと比べて焦る時間よりも、
昨日の自分を少しだけ前に進める時間を持つ。
その静かな積み重ねが、
結果的に一番速い道になる。

学びは“速度”ではなく“呼吸”です。
早く走るために息を止めるのではなく、
息を整えながら、長く進めるリズムを作る。
その呼吸を見つけた人は、どんなに忙しくても倒れません。


未来は、今の延長線上にしか現れません。
「いつか頑張る」は、永遠に“いつか”のまま。
「明日から頑張る」は、たぶん永遠に“明日から”のまま。
でも、「今日の5分を積む」ことでしか、未来は形を持たない。

たった5分でもいい。
寝る前に机に向かってノートを開く。
今日の授業を思い出す。
新しく学んだこと、自分が手に入れたものを確かめる。
そして布団に入ったら、もう一度思い出してみる。ひとつでもいい。

その一瞬が、“今”という時間を整える行為なのです。
その“今”が積み重なったとき、
初めて“明日”が変わります。


そして、忘れてはいけないのは――
この「今を整える力」は、子どもだけでなく、大人にも必要だということ。

仕事に追われ、家庭に追われ、それでも誰かのために時間を使いながら、
自分の“学び”を保つことは容易ではありません。
けれど、たとえ忙しくても、
本を1ページ読む、
考えをメモする、
静かにコーヒーを飲みながら自分を振り返る――。

それらはすべて、“今を整える”小さな学びです。
大人がその姿を見せることこそ、
子どもにとって何よりの教育なのかもしれません。


勉強とは、未来の切符ではなく、
今をより深く生きるための道具です。
だから、学びのリズムは“未来”ではなく、“今”の中に作る。

明日を変えるために、
今日を止めないこと。
それが、塾という場所が目指す“学びの呼吸”です。


次回・第4回では、いよいよテーマを変え、
「“部活が終わったら塾”ではもう間に合わない」
という現実的な問題に踏み込みます。
ただし、焦らせる話ではなく――
“遅れてもやり直せる方法”を、やさしく、具体的にお伝えします。

コメント

この記事へのコメントはありません。

関連記事

PAGE TOP