大分県日田市のやさしい学習塾『いる・かんぴえっろ』

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子どもが自信をなくしている(保護者様のお悩み相談から)

――励まそうとしても、届かない夜に。――

1.「何を言っても響かない」とき

ある日を境に、急に黙り込む。
テストがうまくいかなかったのか、
友達との関係で何かあったのか――理由は分からない。

親が声をかけても、

「別に」
「放っといて」

そんな返事が返ってくる。

心配だから励まそうとする。
「次があるよ」「大丈夫だよ」
でも、子どもは下を向いたまま。

――何を言っても届かない夜があります。

そんなとき、親の胸の奥にも、
小さな敗北感が灯ります。
「私の声、もう届かないのかな」と。

けれど、それは『届かなくなった』のではなく、
『まだ届く場所に降りていない』だけなんです。

2.子どもが沈黙する理由

自信をなくした子どもは、
『言葉の中』にいられなくなっている。

「頑張れ」も「大丈夫」も、
『自分とは関係のない音』にしか聞こえない。

それは、耳を塞いでいるのではなく、
心が一時的に防御モードに入っているだけ。

自信を失うと、人はまず『静かになる』んです。
それは、次の一歩を出すための準備期間でもあります。

焦って引き上げようとせず、
その沈黙を『壊さずに一緒にいられる』こと。
それが、親にできるいちばんの支えです。

3.「励まし」よりも「共にいる」

子どもが落ち込んでいるとき、
大人はつい『何か言わなければ』と思ってしまいます。
沈黙が怖いからです。

でも、必要なのは言葉ではなく温度。

「そばにいるよ。」
「お茶でも飲もうか。」

たったそれだけで十分です。
沈黙の中に『安心』があれば、子どもは自分で戻ってきます。

『励ます』ことより、『寄り添うこと』。
そのほうが、回復はずっと早いんです。

4.「見守る」と「放っておく」は違う

親ができることは限られています。
でも、『何もしない』ことが『放棄』ではありません。

たとえば――
・夜、子どもの部屋の前に夜食を置いて声をかける
・温かい飲み物を一杯差し入れる
・ドア越しに「おやすみ」の一言だけ伝える

それだけで、
子どもは『自分を見てくれている』と感じます。

見守るとは、
手を離すことではなく、目を離さないこと。
その違いを覚えておいてください。

5.「信じて待つ」は、いちばん難しくて、いちばん強い

焦りたくなる夜ほど、
「この子の中に、もう一度立ち上がる力がある」と信じてください。

誰も信じてくれなくても、
親だけは信じてくれる――その感覚が、
子どもに『自分を取り戻す力』を与えます。

自信は、『外から与えるもの』ではなく、
『中から見つけ直すもの』だから。

――「待つ」と決めた時間の、その先で。――

6.「あの子、少し笑ったんです」

以前、塾に来るようになった中学2年生の女の子。
学年末のテストで思うように結果が出ず、
「もう無理」と呟いたきり、机に向かわなくなりました。

お母さんは焦りました。
「勉強しなさい」と言うたびに、
娘はドアを閉めて部屋にこもってしまう。

ある日、お母さんは勇気を出して言葉を変えました。

「もう頑張らなくていい。今日は一緒にごはん食べよう。」

その夜、食卓に座った娘は小さな声で言いました。

「ごめんね。私、もうちょっとだけ頑張る。」

その『もうちょっと』が、
本当の再スタートでした。

お母さんは後で言いました。

「あの子、少し笑ったんです。あれが戻ってきた瞬間でした。」

7.「励まし」は、時間をかけて届く

自信をなくした子どもは、
『励ましの言葉』をすぐには受け取れません。

でも、心の奥には届いています。
それは、静かに沈んで、時間をかけて効いていく。

大切なのは、「言葉を残す」こと。

「いつでも味方だよ。」
「信じてるよ。」

それだけで十分です。
返事がなくても、うつむいたままでも、
その言葉は必ずどこかに残っています。

やがて子どもが再び顔を上げたとき、
その言葉が『支えの芯』になります。

8.「できた」より「戻れた」を喜ぶ

再び勉強を始めたとき、
親はつい「やっとやる気が出たね」と言いたくなります。

でも、その前に――

「戻ってきてくれてうれしいよ。」

そう伝えてください。

結果よりも、「戻れた」という行動そのものを認める。
それが、自信を取り戻す最初の栄養です。

子どもは、「頑張れた」よりも「受け入れられた」で立ち直る。
その違いが、回復のスピードを変えます。

9.「焦らない親」が、いちばん強い味方

子どもの成長には波があります。
自信を失うときもあれば、突き抜ける瞬間もある。

親が焦るほど、子どもは「置いていかれた」と感じます。
だから、焦らない親でいること。
それが、子どもにとって『安心の足場』になります。

夜が長く感じられるときほど、
静かにコーヒーでも淹れて、こう思ってください。

「この子は、ちゃんと戻ってくる。」

信じて待てる人がそばにいること――
それが、どんな励ましよりも強い支えです。

10.「自信をなくすこと」は、成長の証

子どもが自信をなくす瞬間は、
失敗のサインではなく、成長の通過点です。

「できない」ことを知ったということは、
『これから何を学べばいいか』を見つけたということ。

落ち込むことも、泣くことも、
その子が『真剣に生きている証拠』です。

だから、どうか怖がらないでください。
その姿の中に、
『未来へ向かう力』が確かに芽吹いているのです。

🌿 全体のまとめ

自信をなくした子どもには、「言葉」より「温度」を。

「励まし」は、届くのが遅いだけで、消えない。

「戻れた」瞬間を、一緒に喜ぶ。

焦らない親が、いちばん強い支えになる。

自信をなくすことは、成長の証。

🎬 次回予告

次はいよいよ『行動提案ゾーン』。
「志望校を決められない・目標がない」
子どもに『夢を語れ』と迫る前に、
まず親ができる『対話のきっかけづくり』をお話しします。

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