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進学したら知っておきたい“塾のはじめどき”|①“塾は部活を引退してからでいい”は本当にお得?

部活が終わってから塾に通わせるのは本当に得?
現場の塾長が語る「早く始めたほうが結果的に安くなる」理由。


保護者の方と話していると、よくこう言われます。

「塾は部活を引退してからでいいですよね?
それまで家庭学習して、直前にわからないところだけ教わるのがいちばん効率的だと思うのですが。」

気持ちはよくわかります。
教育は家計にとって小さくない支出です。できるだけ必要なときにだけ投資する――その発想は経済上は合理的に見えます。

ですが、本当にそれが“最安”で“最短”になるのでしょうか?
私の経験からお伝えすると、むしろ逆です。
受験直前から始めるほど、“高く”、“つらく”、“間に合わない”学びになりがちです。


「直前から」が高くつく構造――再学習コストの存在

中学3年の夏に駆け込んでくる生徒が、まず直面する現実があります。
それは「何がわからないか、わからない」こと。

表面的には「この単元が苦手」ですが、掘り下げると――

  • ① 基礎の開いた穴(1・2年範囲)

  • ② 思考の癖(自己流の手順や断片的暗記)

  • ③ 受験形式への適応(時間配分・得点戦略)

これらをすべて整える必要があるのです。
つまり、直前期の学習は「新しい知識を積む」よりも、「開いた穴をふさぐ」作業が中心になります。

“新規の単元”を教えるよりも、“誤った蓄積や欠落の是正”の方が、
時間も勉強の労力も大きくなりがちです。

本気で取り返そうと思えば、受講回数を増やす・授業時間を延ばすなど、
単価×量の両面で負担が膨らみます。

しかも、焦りの中で詰め込んだ内容は、あやふやな記憶のまま本番を迎えがち。
「遅らせた分だけ高くつく」――それが再学習コストの現実です。


“学び方”は短期では身につかない――直前補習の限界

もう一つの問題は、「学び方」自体が時間を要する技術だという点です。

テストの点は、覚えるべき事を覚えることで上がります。
しかし同時に、問題を読んで回答に至るまでの手順を定着させることも必要です。

この「手順」こそが“学び方”です。

たとえば――

  • 数学なら、式を立てる前に「何が求められているかを把握する」習慣

  • 英語なら、読む前に「主語・動詞・文の骨格を見抜く」習慣

こうした手順は、知識の暗記よりも経験に基づく反射的な行動として定着します。
つまり、繰り返しと時間が必要なのです。

この「学びの型」は、直前期では形成できません。
本番で緊張しても崩れないフォームを作るには、一定の時間と反復が不可欠です。
短期詰め込みより、長期の手順定着こそが再現力を生むのです。


早く始めるのは“長く通う”ためではない――コスパの要諦

「早く始める」と聞くと、“塾通いが長くなる”と感じる方もいます。
しかし本来の目的は逆です。

早く始める=学び方を早く整え、早く自立に移行すること。

中1・高1の段階で

  • 英語や数学など積み上げ科目で、ノートの作り方・復習の流れ・間違いの潰し方を習得

  • 「テスト勉強は直前にやるもの」ではなく、「日常の学びの結果がテストになる」という発想に転換

中2・高2では

  • 原則は自走。定期テストごとに苦手単元だけをスポット修正。

受験期(中3・高3)では

  • 1年生から立てた戦略(時間配分・優先順位・過去問サイクル)を実行に移すだけ。

  • もはや「戻り学習」をする時間は最小になります。

この設計なら、学習時間は減り、塾の単価価値は上がり、家計の負担は最小化。
早期通塾は「長く通うため」ではなく、「塾を早く卒業できる力」を作るためなのです。


「時間を節約する装置」としての塾

家計ではお金の節約が大事ですが、教育で最も貴重なのは時間です。

学年が上がるごとに、取り戻すべき“前提の数”は、
雪山で転がるうちにどんどん大きくなる雪玉のように増えていきます。
最初は小さな一欠片でも、放置すると巨大化し、元に戻す労力が跳ね上がるのです。

さらに、3年生になると――
部活引退で時間が増えたように見えても、実際には毎週の模試と復習、面談や出願準備などが重なり、
自由に使える学習時間は減少します。

だからこそ、早く学びを整えておくことが最大の節約なのです。

塾の役割は裏ワザを教えることではありません。
基礎・基本を固め、学びの手順を整えること。
それが最短の近道です。

“ショートカット”とは、裏技ではなく、基礎を徹底して整えること
塾とは、“フォーム修正と設計”を通じて時間の損失を防ぐ装置です。


よくある反論への私の感想

「本人にやる気が出てからでいい」

やる気は原因ではなく結果です。
「できた」という体験がやる気を生みます。
まず、“できる方法”を整えるほうが近道です。

「家庭学習で十分では?」

理想はもちろん家庭学習です。
ただし、学び方の“初期設計”と“工程表”だけは、プロの力を借りた方が圧倒的に効率的です。
最初の3ヶ月の整備が、3年分の成果を左右します。

「費用が心配」

だからこそ、“フォーム修正と設計”を早く行うべきです。
塾の目的は
“通い続けること”ではなく、「塾を卒業できる力」を作ること。
直前の大量受講より、早期に整えて短期で塾を卒塾するほうが総額は低くなることが多いのです。


いつ始めるのが最適か?――塾長の結論

“早ければ早いほどイイ”ですが、
中学受験をしない小学生などを考えると、中学・高校の1年生が最適です。

このタイミングであれば、

  1. 基礎の地盤を最初から整えられる

  2. 悪い癖が固まる前に修正できる

  3. 部活や行事が本格化する前に学習リズムを固定化できる

  4. 以後はスポット指導で回すだけの設計が可能になる

すでに2年生・3年生の方も、手遅れではありません。
ただし、3年生以降は受験戦略より“学び残しの埋め合わせ”に時間の大半が割かれる現実を、冷静に共有しておきたいと思います。


次回予告とまとめ

この連載では、「塾は受験前でよい」という通説を、
費用対効果・時間設計・学びの技術の三側面から再構成し、
“最も安く、短く、深く”学ぶ方法を示していきます。

  • 第2回:「3年生からでは遅くなる理由」

  • 第3回:「1年生が最もコスパが高い理由」

  • 第4回:「塾を“卒業”できる子の育て方」

  • 第5回:「時間とお金を生かす塾の使い方」

教育は投資です。
この教育という投資で、最も大きな損失は“遅れ”です。

早く整えれば、それだけ早く自由になれる。
それが、塾を上手に使うということなのです。

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