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第2回⑤/塾は依存の場ではなく、自立の準備室

前回は、「全部を塾でやるより、必要な部分を整える」という話をしました。
勉強とは、すべてを抱え込むものではなく、
必要な時期・必要な教科を、適切な距離で支えること。
そして、塾は“生活の補助輪”として機能するのがいちばん自然だと。

今回は、その最終章として――
塾とは何のためにあるのか。
その本質を「依存」と「自立」という観点から、改めて考えてみたいと思います。


塾に通わせる理由は、家庭によってさまざまです。
「成績を上げたい」
「受験の準備をしたい」
「家では集中できない」
どれも正しい動機です。

けれど、もう一歩だけ深く掘るなら、
塾とは本来、“自立のための練習場”であるべきなのです。

授業の受け方、復習の仕方、時間の使い方。
それを身につけるために、一時的に環境を借りる。
そこで培った「学び方」は、やがて塾の外でも機能します。

塾とは、“答えをもらう場所”ではなく、
“答えの探し方を体で覚える場所”なのです。


しかし現実には、「塾に行かせているから安心」と思いたくなる瞬間もあります。
その気持ちは、誰にでもある。
けれど、安心と依存は紙一重です。

塾を“結果の保証装置”のように扱ってしまうと、
子どもは「塾があるから大丈夫」と考えるようになります。
この思考が静かに根を張ると、
勉強の主体はいつの間にか「自分」ではなく「塾」に移ってしまうのです。

その結果、塾をやめた途端にペースを崩す子が出てくる。
それは決して、能力の問題ではありません。
“自立の準備が整う前に、塾を支柱にしていた”だけなのです。


では、どうすれば“依存”ではなく“準備”にできるのでしょうか。
答えはシンプルです。
塾での学びを、“終わりのあるプロジェクト”として考えること。

はじめに目標を定め、期間を決めて通う。
たとえば「学年末までは」「夏期講習までに」など、
ゴールを設定したうえで塾を使う。

そうすれば、子どもも「期間内でやり切る意識」が芽生えます。
塾を“終わりのある支援”として経験することが、
子どもに「自分の力で立つ」感覚を教えるのです。


そして、その区切りを迎えたとき――
私は、保護者の方にもこう伝えます。
「ここからは、いったん手を離してみましょう」と。

もちろん、不安が残る気持ちはわかります。
けれど、いったん自分の力で進ませてみる。
それでまたつまずいたら、その時は戻ってくればいい。
塾は、いつでも“再スタートの場所”としてそこにあります。

一度手を離す勇気。
それが、親にできる最大のサポートです。
「行かせる」ことと同じくらい、
「見守る」ことにも覚悟がいる。
けれど、その覚悟の中で子どもは成長します。


塾は、依存を育てるためにあるのではありません。
自立を準備し、やがて“塾のいらない力”を育てるためにあるのです。

だからこそ、塾に通うことも、やめることも、戻ることも、
どれも失敗ではありません。
それらはすべて、“学びの循環”の中にある自然な出来事です。

学びとは、続けることそのものよりも、
“整え直せること”にこそ価値がある。
そのために塾は存在します。


もし今、通塾を迷っている方がいるなら――
焦らず、構えず、こう考えてみてください。

「うちの子が、自分で立てるようになる準備を手伝う場所」

それが、塾です。
そしてその準備が整ったとき、
あなたのお子さんは、もう次の景色を見ているはずです。


次回・第3回では、
「“部活が終わったら塾”ではもう間に合わない」
というテーマで、“時間の錯覚”についてお話しします。
学びの速度は「時刻表」ではなく、「リズム」で決まる――
その真実を、少し踏み込んで見ていきましょう。

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