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友達関係・SNSトラブルが心配(保護者様のお悩み相談から)

――見えない世界にいる子どもを、どう支えるか。――

1.「最近、スマホの中の話しかしない」

中学生になると、
友達との関係の多くが『スマホの中』で完結するようになります。
LINE、Instagram、ゲームのチャット――。

「誰と話してるの?」と聞いても、
「別に」「普通」と返されて終わる。

親にとっては、
『見えない世界で何が起きているのか』がいちばん怖い。
「トラブルになっていない?」「仲間外れにされていない?」
そんな不安が募ります。

でも、実は――
その『心配』こそが、すでに最良のスタートラインなんです。

無関心ではなく、「見よう」としていること。
それが、子どもを守る最初の一歩です。

2.SNSは、子どもたちにとって『もう一つの教室』

現代の中学生にとって、SNSはただの娯楽ではありません。
『自分の居場所を確かめる空間』です。

いいねの数、スタンプの速さ、既読のタイミング――
それらが『自分の立ち位置』を測る指標になっている。

だから、SNSの世界で起きる出来事は、
子どもたちにとってリアルな出来事なんです。

親が「そんなの気にしなくていい」と言ってしまうと、
子どもは『理解されない』と感じてしまう。
SNSは『現実ではない』のではなく、『もう一つの現実』。
まずは、そこを認めることから始めましょう。

3.「SNS=危険」ではなく、「扱い方の経験不足」

SNSのトラブルは、
悪意というより、『経験不足』から起きます。

たとえば、
・相手が傷つく冗談を軽く書いてしまう
・グループを抜けた子の悪口に、軽い気持ちで反応してしまう
・投稿の「見られ方」に神経をすり減らす

大人ならわかる『加減』を、子どもはまだ知らない。
つまり、SNSのトラブルは、学ぶ機会の不足なんです。

だからこそ、親がすべきは『禁止』ではなく、『伴走』。

「やめなさい」ではなく、
「どんなことがあったの?」

この違いが、子どもの口を開かせます。

4.親が知っておきたい「心配しすぎのサイン」

子どものSNSを過度に心配するあまり、
親自身が情報に疲れてしまうケースもあります。

夜中までスマホ履歴をチェックしてしまう

子どものLINEを全部見たいと思ってしまう

「この子、本当に大丈夫なの?」と四六時中不安になる

その背景には、
「見えないことへの恐怖」があります。

でも、すべてを見ようとするほど、
子どもは心を閉ざしてしまいます。

SNSの世界で完全に守ることはできません。
けれど、「話せる空気」を作ることはできます。

安心して話せる環境があれば、
トラブルが起きても、子どもはちゃんと『戻ってこられる』。

5.「全部知りたい」より、「何でも話せる」関係へ

親がすべてを把握しておく必要はありません。
大切なのは、何かあったときに話せる関係。

そのためには、
日常の小さな雑談の中に『余白』を作ることが大切です。

「最近、誰と話すことが多い?」
「その人って、どんなタイプ?」

こうした軽い会話の積み重ねが、
『もしもの時』のセーフティネットになります。

子どもが心を開くのは、
質問の数ではなく、空気の柔らかさです。

――守ることと、信じることのあいだにある『余白』。――

6.「見なかったことにする勇気」が救うこともある

ある生徒の話です。
学校のクラスのグループLINEで、友達の一人が悪口を言われていました。
彼女はショックで泣きながらお母さんにスマホを見せました。

お母さんはすぐに学校へ連絡しようとしましたが、
娘はこう言いました。

「もういい。自分で謝って、グループ抜けるから。」

お母さんは悩みましたが、その言葉を尊重し、
何も言わずに抱きしめるだけにしました。

翌週、娘は落ち着いた表情でこう言いました。

「自分で話して、仲直りできた。」

親がすぐに『介入』していたら、
きっとその経験は奪われていたでしょう。

このときお母さんが選んだのは、
「信じて見なかったことにする勇気」でした。
それは『放任』ではなく、尊重です。

7.「もしも」が起きたときの3つの対応ステップ

SNSでのトラブルが発覚したとき、
慌てずに以下の3ステップを思い出してください。

ステップ① 「まず聞く」

感情的に問い詰めるのではなく、

「それを見たとき、どんな気持ちだった?」
と『感情』に焦点を当てる。

事実確認は後で構いません。
まずは「受け止める」が最優先。

ステップ② 「一晩おく」

SNSトラブルの多くは、時間とともに沈静化します。
焦って学校や相手の親に連絡すると、
事態が大きくなることも少なくありません。

可能であれば、一晩寝かせてから考える。
冷静さが戻ると、子ども自身が解決の方向を見出す場合があります。

ステップ③ 「必要なら、第三者と共有」

もし、悪口や誹謗中傷が続く場合は、
学校や塾など、子どもと距離の近い大人に相談しましょう。
『家庭の中だけで抱え込まない』ことも大切です。

8.SNSの向こう側にある「承認欲求」を理解する

SNSでの投稿や返信には、
「誰かに見てほしい」「自分の存在を感じてほしい」
という自然な欲求があります。

その気持ちは、親が思う以上に強く、繊細です。

だからこそ、親がしてはいけないのは、

「そんなの、気にしすぎだよ。」
という『軽視』。

代わりに、

「見てもらえるって、嬉しいもんね。」
「分かるよ。そうやって自信が出ることもあるよね。」

――と、いったん肯定する。

「正しさ」より先に「共感」を置くと、
子どもはSNSに飲まれにくくなります。

9.親が作る「安心の帰り道」

SNSの世界でトラブルが起きたとき、
一番の救いは『帰れる場所』があることです。

その帰り道は、

「大丈夫。あなたの味方だよ。」
という言葉だけで十分なんです。

親がすべての情報を知っていなくてもいい。
子どもが「何かあっても大丈夫」と思えるだけで、
リスクは大きく減ります。

見えない世界を完全に守ることはできない。
でも、『帰れる空気』を作ることは、誰にでもできる。

それが、家庭が持ついちばん強い防御力です。

🌿 全体のまとめ

SNSは『もう一つの現実』。危険ではなく、理解の対象。

「禁止」ではなく、「伴走」。

見守るとは、『何も言わない』ことではなく、『聞ける空気を作る』こと。

トラブルは、信頼の練習のチャンス。

家庭が『安心の帰り道』である限り、子どもは何度でも立ち直れる。

🎬 次回予告

「子どもが自信をなくしている」
― 叱ることも、励ますことも届かないとき。
次回は、親が『何もできない時間』をどう過ごせばいいのか――
子どもの再起を支える『沈黙の勇気』についてお話しします。

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