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第4回④/勉強は“再スタート”より“再設計”

勉強が続かなくなると、多くの人はこう考えます。
「よし、もう一度やり直そう」「明日から、ちゃんとやる」。

けれど私は塾で、こう伝えます。

“やり直す”のではなく、“設計し直す”のだと。


“再スタート”という言葉には、いつも少しの緊張と焦りがつきまといます。
ゼロから立て直すような気持ちになり、“今までの失敗”をリセットしなければと思い込んでしまう。
そして、「リセットしなくてはいけない悪いものだった」という思いまで生まれてしまうのです。

でも、学びのリズムは機械ではありません。
リセットボタンで動くものではなく、生活の中で、何度でも形を変えられるものです。


部活を引退したあと、「やる気はあるのに続かない」と悩む子がいます。
それは気持ちが弱いからではありません。構造が変わっていないからです。

どれだけ「頑張る」と決めても、

  • 勉強机の上には、今からやる学習に必要な教材だけを置く。
  • スマホは別の部屋に置き、電源を切っておく。
  • 20~30分に1度は、立ち上がって深呼吸をしたり、5分ほどストレッチをする。

このような“仕組み”がなければ、集中は続きません。
続かない理由の多くは、意志ではなく環境設計の不備にあります。


「再設計」とは、過去を消すことではありません。
むしろ、過去を素材にすることです。

昨日の挫折を「またダメだった」と切り捨てず、
昨日の過ちを、未来の成功に活かす。
たとえば、夜更かしの原因がスマホなら、
「明日は気をつけよう」ではなく、
「電源を切っておこう」「親に預けておこう」と、行動を変える仕組みに置き換える。

失敗を感情ではなく“設計”として扱う。
その発想を持てる子は、どんな場面でも自分のペースを取り戻せます。


再設計の子は、失敗しても立ち上がるのが早い。
反省するたびに“自分を責める”のではなく、“自分の仕組みを変える”からです。
そうして少しずつ、「続かない」ではなく「続け方が変わる」へと進化していく。

私は、塾でこう話します。

勉強は、“やり直す勇気”で押し切るものではありません。
“組み直す知恵”で続けるものです。


努力とは、気持ちを奮い立たせることではありません。
自分に合う環境と仕組みを設計し直す技術です。

集中できなかった日も、思うように進まなかった日も、
「意志が弱い」と嘆く必要はありません。
見直すべきは気持ちではなく、構造です。

続かなかったのは、自分が悪いからではなく、
“仕組みが、今の自分に合わなくなっていただけ”。

そう考えられた瞬間、学びはやり直しではなく“成長の設計図”に変わります。


再スタートは、勇気です。
それは、ゼロからやり直す覚悟でもあります。
自分の遅れや失敗を正面から見つめ、もう一度立ち上がる――
その勇気を持てる人は、ほんとうに強い。

けれど、その勇気を何度も出さなくていいように、
私たちは“再設計”を学ぶのです。

同じ場所でつまずくたびに、心は少しずつ擦り減ります。
だからこそ、一度きりの勇気を無駄にせず、
生活の構造を見直して、続けられる仕組みを整える。

“再スタート”は勇気の証。
“再設計”は、その勇気を支える知恵。

勉強とは、立ち上がる力と、倒れない仕組みの両方を育てる時間なのです。


保護者の方へ。
お子さんがつまずいても、どうか恐れないでください。
失敗は、設計図の修正版を描くための材料です。

「またできなかった」ではなく、
「どこを変えれば次は続くだろう」と考えること。
この一歩が、家庭全体の学びの空気を変えます。


次回・第4回 第5パートでは、
「学びが日常に溶ける瞬間」――
努力が“特別な行動”から“自然な呼吸”に変わる過程を描きます。
「量で測る」「順序で決める」「小さく設計する」。
その積み重ねがどんな景色を連れてくるのか、一緒に確かめましょう。

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