大分県日田市のやさしい学習塾『いる・かんぴえっろ』

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第0回⑤/備える親は、子の自由を守る親

前回は、塾とは“教わる場所”ではなく、“整える場所”だという話をしました。
では、そこに子どもを送り出す親の役割とは、何でしょうか。
私は、こう思います。
それは「備える勇気」を持つことです。


多くのご家庭では、
「うちの子はまだ早い」「もう少し様子を見よう」と考えます。
それは、子どもを信じたいという思いからくる優しさです。
けれど、学びの世界では、
その“優しさ”がほんの少しだけ遅れて届くことがあります。

子どもが困ってから動くより、
困らないように先に環境を整えることのほうが、
実はずっと穏やかで、やさしい選択です。
それは「焦り」ではなく、「予防」。
早く動くことは、子どもを追い立てる行為ではなく、
未来を守るための静かな投資なのです。


私の塾にも、「勉強を嫌がっているけれど、どうすればいいか分からない」という相談がよく届きます。
そんなとき私は、「嫌がっているうちはまだ大丈夫です」とお伝えします。
子どもは、嫌いだと言いながらも、心のどこかで“できるようになりたい”と願っています。
ただ、その願いを自分の力で形にできないだけなのです。
だからこそ、支えてあげられる“早い時期”がいちばん大切なのです。

中学生になってから勉強が分からなくなると、
それは単に知識が抜けているという問題ではなく、
「わかる」「できる」という成功体験の積み重ねが少ないために、
自信の芽そのものが育ちにくくなります。
学習の支援は、成績を上げるためだけでなく、
“自分にはできる”という感覚を失わないようにすることでもあります。


親の目から見ると、子どもはときどき“頼もしく”見えます。
「この子なら大丈夫」「放っておいても自分でやるだろう」と思える瞬間もあります。
でも、どんなにしっかりした子でも、
成長の途中では必ず“支えの瞬間”が必要です。
心が揺らいだとき、誰かが「大丈夫、今のままでいい」と言ってあげられるかどうか。
その一言が、学びを続ける力になります。

塾は、そうした支えのひとつです。
子どもの「努力する場」であると同時に、
親の「安心の場」でもあります。
家庭の中ではぶつかってしまう課題も、
第三者の伴走者が入ることで、やさしく整理されることがあります。
塾に通うという選択は、家庭の中に“余白”をつくる行為でもあるのです。


「備える」とは、何かを恐れて動くことではありません。
子どもの未来に小さな灯をともしておくことです。
灯がある限り、道に迷っても戻ることができる。
勉強とは、まさにその灯を増やしていく作業です。
だから私は、保護者の方にこう伝えたいのです。

「早く始める」というのは、焦りではなく、
“子どもが立ち上がる場所”を守るためのやさしい行動です。

学びに遅すぎることはあっても、早すぎることはありません。
そして、塾に通うことは“依存”ではなく、“備え”です。
子どもが将来自分で立てるように、
今、地面を整えてあげる――それが親の役目です。


勉強の話をしているようで、
実はこれは「生き方の話」でもあります。
理解の層を整え、思考の地盤を固めておけば、
子どもはどんな時代の変化の中でも、自分の足で歩ける。
備える親は、子の自由を守る親です。
そして、その自由こそが、何よりの贈り物になるのだと私は思います。


次回からはいよいよ第1話、
「“つまずいてから”では遅い──勉強は持久走のようなもの」。
子どもの“学びの時間軸”を、もう少し具体的に見ていきましょう。

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