家庭でできる現実的な手当てと設計図【後編】
1. 家族ルールを“見える化”するテンプレ
タイトル:わが家の集中を育てる約束(4週間トライアル)
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スマホの充電場所はリビング固定/寝室持ち込み不可
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スマホの平日の画面時間:合計60分(学習端末は別枠なら記録)
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就寝2時間前にスマホの電源はオフ(21:30以降は家族全員)
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夕食後は外遊びorストレッチ15分→入浴
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休日は午前中に屋外30分+図書館 or 家事手伝い
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できた日はカレンダーに○(家族で見える場所)
コツ:家族全員で同じルール。最初は甘め設定で「勝てる仕組み」に。
2. 1週間の実践プラン(例:小4〜中1)
| 曜日 | 朝(5〜15分) | 帰宅後(15〜30分) | 夜(就寝2h前〜) |
|---|---|---|---|
| 月 | カーテン+ベランダ深呼吸 | 宿題の“先着手”15分→外遊び | ストレッチ/音読/入浴/明日の学校の準備 |
| 火 | 3分散歩(家の周り) | 宿題の“先着手”15分→外遊びor室内運動15分 | ボードゲーム/家事手伝い10分/明日の学校の準備 |
| 水 | 朝日+白湯 | 宿題→自由時間(タイマー) | 明日の学校の準備 |
| 木 | カーテン+深呼吸 | 宿題の“先着手”15分→外遊び30分(公園) | お風呂で湯あそび(呼吸遊び)/明日の学校の準備 |
| 金 | ベランダ深呼吸 | 宿題の“先着手”15分→明日の準備 | 週のふり返り○×チェック |
| 土 | 公園・自転車30分 | 図書館/買い出し同行 | 家族でカードゲームやボードゲーム |
| 日 | のんびり散歩 | 週の予定を親子で確認 | スマホ設定の見直し/明日の学校の準備 |
「宿題の先着手15分」は、“スイッチ”の役割。このときに宿題を全部終わらせる必要はありません。まずは、宿題があったのを思いだして、取りかかりましょう、ということです。完璧主義は不要です。
3. 食事の“欠けを埋める”テンプレ
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毎食の合言葉:「主食+主菜+副菜(野菜/海藻/きのこ)」
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足すだけ一皿(常備菜を作り置くことを推奨)
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乾燥わかめ+豆腐+味噌汁
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しめじのバター醤油炒め
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小松菜のおひたし/海苔+納豆
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週2〜3回の青魚(サバ、イワシ、サンマ等=オメガ3、鯖の水煮缶なども大活躍できます)
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不足しがち素材:鉄(赤身肉/レバー/小松菜)、亜鉛(肉/牡蠣/大豆)、マグネシウム(海藻/豆類/ナッツ)、ビタミンD(きのこ/魚+朝のひかり)
サプリに頼る前に、“足すだけ習慣”から。味噌汁1杯からでも大きく前進します。
4. 学校との連携は「短く・具体的」に(文例)
件名:〔ご相談〕家庭での睡眠・スマホ運用の見直しについて
先生
いつもお世話になっております。○○の保護者の○○です。
最近、家庭で「就寝前2時間の画面オフ」「朝の散歩」「外遊び30分」を始めました。午前中の集中や、提出物の準備に変化があるか、授業でお気づきの点があれば短くで構いませんので教えてください。
可能でしたら席の配置や声かけの工夫(例:開始合図の視覚提示、板書の写真OK等)をご相談させてください。
どうぞよろしくお願いいたします。
5. 経過の測り方(ミニKPI)
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睡眠:起床時の機嫌(0〜5)/起床時刻のブレ(分)
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学習:提出物の「未提出回数」/うっかりミス件数
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行動:就寝2時間前の画面“オフ率”(週○/7日)
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気分:夕方の「イライラ度」(0〜5)
週1回、10分で親子一緒に記録。「できたこと探し」を必ず入れます。
6. “つまずきの山”で足が止まるときの対処
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一気に変えない:1つずつ。まずは寝室スマホ禁止だけでもOK。
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勝てる設定:画面60分→2週間後に45分……“段階的”が鉄則。
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ご褒美は即時・小さく:○が3日連続で好きな入浴剤/日曜の選曲権/明日の夕食のリクエスト権など。
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親の独り相撲を避ける:学校・塾と早めに共有。外部の目は前進の燃料です。
7. 早めに専門へつなぐサイン(目安)
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けいれん、急激な体重変動、食事や睡眠の重い乱れ
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自傷・他害の兆候、強い抑うつ・不安が続く
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学校欠席が慢性化、家庭内での安全確保が難しい
こうした場合は医療・専門機関に相談を最優先に。家庭の工夫は同時並行で十分です。
後編のまとめ(そしてお願い)
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貼り出すルール表/1週間プラン/食事テンプレで、今日から“仕組み”を回せます。
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変化は学期単位でじわじわ。記録→共有→微調整のサイクルが効きます。
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お子さまの“困りごと”は、親のせいでも本人のせいでもありません。環境を整える役割を大人が引き受けるだけで、状況は静かに動き始めます。
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「就寝が遅い」「ゲームの置き換えが難しい」「食事が偏る」など、各ご家庭の事情に合わせてルール表のカスタムや1週間プランの個別設計を行います。学校との情報共有文例の整備もお手伝いします。
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※本記事は教育現場の視点から家庭でできる支援をまとめたものです。医療上の疑問・不調がある場合は、まず医療機関へご相談ください。
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