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ゲームやスマホに夢中で、生活リズムが乱れる(保護者様のお悩み相談から)

――「悪いこと」ではなく、「使い方の練習」。――

1.「もう、スマホばっかり!」

塾で面談をしていると、
保護者の方がため息まじりにこう言われることがあります。

「帰ってきたらすぐスマホ。ご飯のあともゲーム。」
「夜更かしして、朝はギリギリ。注意しても聞きません。」

親としては当然、不安になります。
「このままで大丈夫なの?」「勉強する時間は?」
――焦りと苛立ちが入り混じる。

でも、まず最初に知っておいてほしいのは、
ゲームもスマホも『悪者』ではないということ。

問題なのは、『依存』ではなく、『調律』。
つまり、使う時間のリズムが崩れているだけなんです。

2.「ハマる」のは、子どもが悪いからではない

脳科学的に見ると、
ゲームやSNSに夢中になるのは「快楽物質ドーパミン」の働き。
それは子どもだけでなく、大人も同じです。

SNSで「いいね」がつくと嬉しい。
ゲームでレベルが上がると達成感がある。
それらは脳にとって『報酬』です。

だから、ハマるのは自然な反応。
むしろ、集中力が高い証拠でもあります。

つまり、

「やめなさい!」ではなく、
「どう付き合うか、一緒に考えようか」

この姿勢が、子どもの『自己管理力』を育てる第一歩です。

3.「禁止」より「共有」

ゲームやスマホの使用時間を決めるとき、
一方的にルールを押しつけると、反発を招きます。

子どもは、『支配』ではなく、『納得』で動く生き物。

たとえば――

「平日は1時間まで!」ではなく、
「1時間くらいなら、気分転換にちょうどいいね。いつ使う?」

と『相談ベース』で話す。

ポイントは、子どもに選択させることです。
「自分で決めたルール」は、驚くほど守られます。

親が『上から決める』のではなく、
『同じ側で整える』関係に変える。
それが「禁止」から「共有」への転換です。

4.「時間を奪う敵」ではなく、「感情を整理する味方」

子どもにとって、ゲームやSNSは『逃げ場』であり『表現の場』でもあります。
とくに思春期は、言葉にならないストレスが多い。
その発散先として、スマホやゲームがある。

もし、

「そんなの時間のムダ!」
と一刀両断してしまえば、
『感情の出口』まで閉ざしてしまうことになります。

ゲームやSNSは、子どもが自分の世界を守るための『仮の場所』。
それを完全に否定すると、
子どもは「理解されない」と感じて心を閉ざしてしまう。

だから、まずは「理解する」から始めてください。

「どんなゲームしてるの?」
「その人とはどこで知り合ったの?」

たったそれだけの質問で、
子どもは『受け入れられた』と感じるんです。

5.「やめなさい」と言いたくなったときの代わりの一言

夜遅くまでスマホを見ている。
そんなとき、つい「もう寝なさい!」と言いたくなります。

でも、代わりにこう言ってみてください。

「あとどのくらいで区切れそう?」

この一言で、子どもの意識が『行動』から『時間』へ移ります。
自分の中に「区切り」を作る練習になる。
そして、次第に『自己制御の感覚』が育っていきます。

――リズムを戻すのは、叱ることではなく、整えること。――

6.生活リズム再設計3ステップ

ステップ① 「使う時間」ではなく「やらない時間」を決める

多くの家庭では「使っていい時間」を決めようとします。
でも、それは守るのが難しい。
なぜなら、ルールを「行動の外側」に置いているからです。

おすすめはその逆。

「夜10時から朝6時まではスマホをリビングで充電」
「ごはんの時間だけはスマホをお休み」

『やらない時間』を決めると、
子どもはそのほかの時間を自分で調整できるようになる。
これは「自由を奪うルール」ではなく、「自由を守るルール」です。

ステップ② 『固定リズム』をひとつ作る

リズムの乱れは、「始め方」が曖昧なことから生まれます。

だから、生活のどこかに「固定された習慣」をひとつだけ置きます。

夜8時に机に座る

朝7時に必ず朝日を浴びる

夕食後に家族で10分だけ会話する

人間の脳は、『繰り返し』に安心を感じるようにできています。
固定リズムがひとつあるだけで、
他の行動も自然と連鎖して整い始めます。

ステップ③ 『リセットの合図』を共有する

スマホを長時間見てしまう子の多くは、
「切り替えの合図」を持っていません。
時間が過ぎていくことを、意識的に感じる機会がないんです。

そこで、親子で「リセットの合図」を決めてください。

たとえば――
・タイマーが鳴ったら深呼吸する
・お母さんが「お茶いれるね」と声をかける
・夜のランプを点けたら『スマホの終わり』

こうした目に見える合図があると、
子どもの脳は自然に切り替わります。
「やめさせる」より「切り替えをデザインする」。
これが最も穏やかで効果的な方法です。

7.塾であった、ひとつの『スマホ逆転劇』

ある中学3年生の男の子がいました。
夜遅くまでスマホを触ってしまい、テスト勉強が進まない。
お母さんはイライラしながら毎晩叱っていました。

私はこう提案しました。

「夜の9時になったら、スマホをリビングの充電コーナーに置く。
代わりに、9時半に『おやすみ前の15分おしゃべりタイム』を作りましょう。」

最初はお互いに照れくさそうでしたが、
数日後、お母さんが言いました。

「あの子、スマホを置くのが早くなってきたんです。」

親子の『会話時間』が、結果的に『スマホ時間』を置き換えたんです。
禁止や叱責ではなく、温度のある関わりがリズムを変えた。

家庭の空気が変わると、時間の流れ方も変わる。
その子は最終的に、睡眠リズムを整えて成績も上がりました。

8.「管理」ではなく「信頼の共同生活」

スマホの扱い方は、『管理の問題』ではありません。
それは、親子で信頼を学ぶ実験場なんです。

子どもが約束を破ったとき、
叱るよりも「理由を聞く」方が意味があります。

「つい長くなっちゃったんだね」
「どんな動画見てたの?」

対話を繰り返すことで、
子どもは『管理される側』から『管理する側』へと成長していきます。

リズムを整えるとは、
単に「時間を守らせること」ではなく、
『自分の行動を自分で決める練習』なんです。

9.夜の静けさを取り戻すということ

親がイライラしなくなった夜、
家庭の空気はほんの少し静かになります。

その静けさの中で、
子どもがそっとノートを開く音が聞こえるかもしれません。

勉強を始めるタイミングは、
叱られたあとではなく、信じてもらえたあとに訪れるんです。

🌿 全体のまとめ

スマホやゲームは「敵」ではなく「共存の相手」。

「使う時間」ではなく「やらない時間」を決める。

習慣をひとつ固定し、リセットの合図を共有する。

禁止よりも、共に整える関係が家庭を穏やかにする。

家庭の『静けさ』は、親が焦らないことから始まります。
信じて見守る姿勢が、いちばん強いルールになるんです。

🎬 次回予告

「友達関係・SNSトラブルが心配」
親が介入しすぎても、放っておいても難しい――。
次回は、『信頼の距離』をどう保てばいいのか、
SNS時代の親の構え方についてお話しします。

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